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《小夜鳴鳥》

月光に照らされ少年の姿が浮かび上がる。

澄んだ歌声が、夜露を含んで、私の心を癒してくれる。

私の小夜啼鳥-

私のそばで、私が眠りにつくまで歌っておくれ。


***

「いらっしゃいませ、敦賀様。全員、おそろいになっております」

執事の案内で、居間に通される。室内に居る全員の視線が

俺に突き刺さる。

「弁護士の敦賀です。先だって亡くなられた氏の遺言状ですが....」


先月一代で財を成した老人が亡くなった、妻子も姉妹もすでに無く、

身内といえば老人の姉妹の係累だけだ。

「・・・ということです。何かご質問は?」

「何故、財産のほとんどがあの少年に、赤の他人なのに」

「氏は生前、彼と養子縁組を済まされています。あなた方にも、

相応過ぎる程の金額を残されていますが」

「私たちは、そんな話を聞いてないわ」

相続人となった少年は、青ざめ震えている。

バチンと乾いた音が室内に響く、親族の青年が頬をうったのだ。

「どうやって大叔父をたぶらかしたんだ」

床に転がる少年をやさしく抱き上げソファに座らせた。

俺は抱き上げた少年の柔らかな感触に違和感を感じた。

「この遺言は有効です、ご質問も無いようですので、手続きを

進めます、みなさんはお帰りになって結構です」

少年と二人きりで話しをするために、書斎へ移動した。

少年とは一度しかあっていない、一年前に氏が上海から連れてきたのだ。

養子縁組は中国から日本に来る際になされている。

死ぬまで行き来の無い親族には、聞かれないから答えなかっただけだろう。

「京君、ちょっといいかな」

「何でしょうか先生?」

俺は彼を抱きしめた、柔らかな感触、やっぱり。

「君は本当は女の子なんだね?どうして戸籍まで偽っている」

「旦那様が、私を中国から連れてくるときに間違ったらしいの。

私は貧民街では少年の姿だったから、こちらに来て初めて

気がついたらしいの、訂正しようとしたらお倒れになって

そのままに、お前は少年の姿のままでいいと仰られて」

「この家の人は、君が本当は女の子ということは知っているの?」

こくんと頷く少年もとい少女に、どうしたものかと俺は思案した。

莫大な遺産相続人の少女、未成年の間は私が後見人に

指定されている。成人となるまでは、私がこの家で起居し

見守ることになる。

美少年だと思ってはいたが、本当は少女で、透き通る白い肌、

黒いつぶらな瞳、さらさらの黒髪、よく響くアルトの声

俺はとりあえずもう一度抱きしめた。

「大丈夫だから、俺が君を守るから、安心して」

少女がこくり頷く、親愛の情で俺を見つめる、俺はどうやらこの少女に

恋をしたらしい。
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