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坊のバラッド

俺は坊、某バラエティの着ぐるみである。

俺さまの中に入ってるのはキョーコちゃんという若手のタレントだ。

俺さまの体重は20kgあるのに、彼女はすごく身軽に動く、人間離れした身体能力の持ち主である。

可愛いくて元気良くてとても優しい女の子だ。

番組の収録が終わってキョーコちゃんは俺さまの羽をいつものように優しく手入れしてくれた。


いまは着ぐるみのなかにいるけど、俺さまは、もとはあやかしである。

もともとは山奥で山神さまにつかえていたあやかしで、神さまのお使いで、湖に住まう龍田姫さまへ使者としてウソに化けて、のんきに空を飛んでた。

あやしとしてまだ若い俺は(当年とって100歳)隼に襲われてうっかり大事な便りを落としてしまったんだ。

山神さまに怒られるのが怖くなって、俺さまつい嘘ついちまって、あとでバレてこの着ぐるみの中に閉じ込められてしまった。

たまたまこの着ぐるみの工房が山神さまの山麓にあったのが運のつきさ。

おれたちあやかしは、あやかしになるまで人間の時間でいうと50年以上かかるのだ。

50年以上ものとして大事にされると、おれたちはあやかしになれるわけなんだ。

なんで50年かって、人生50年ていうだろう、人の一生分大事にされるとあやかしとして生をうけるのだ。

山神さまはいった。とりあえず着ぐるみで一生を全うしろと。

誰か一人でも幸せにすることが出来たら、そのときは晴れて自由の身になり、ふるさとの山に帰ることができると約を交わした。

俺さまはキョーコちゃんを幸せにしたい。

俺さまは、キョーコちゃんにいつもお世話になってるのもあるが、キョーコちゃんの面立ちが、100年前に俺を大事にしていた女の子ににているんだ。

俺さまは元は、陶器で出来た文鎮だった。女の子の父親が銀座の鳩居堂で購入した中国生まれの鳩の容を模したものだ。女の子の家は村の旧家で、大地主で裕福な家だった。

女の子は尋常小学校に入ったばかりで、そのお祝いとして俺さまが贈られたんだ。

女の子の名前はユキといった。ユキは、俺さまを大事にしてくれた。

俺さまに坊と名前までつけてくれた。

ユキは体が少しばかり弱くて、あまり学校には行けなくて、障子をあけて外の景色をいつもみてた。

みな忙しくて、体の弱いユキにはあまりかまってはいられなくて、本を読んでは俺さまに話しかけていた。

寂しいはずなのに、ユキは兄弟姉妹や父母祖母にわがままも言わず甘えもしなかった。

ただ自分の体の弱いことを恥じていた。

でも俺さまに話かけるときいつも可愛い笑顔を向けてくれてた。

ユキには、憧れている従兄弟がいた。

年上のユキヒトという少年だった。

ユキヒトはユキの家にくるときは、花や菓子をお土産にもってきてくれて、ユキを可愛がったのでとてもなついてたんだ。

小さい頃は体の弱かったユキも数えで15になった。

ねえやは15でお嫁にいったのでユキもそろそろお嫁にいくことになるはずだったが体の弱いユキのことを気遣う両親は、ユキに無理な縁談を進めなかった。

俺さまは知っていた。

ユキの好きな人を、従兄弟のユキヒトだ。

ユキはユキヒトのお嫁さんになりたいのだ。

ユキヒトは旧制高校をこの春卒業し秋には帝大への進学が決まっていた。

ユキはユキヒトに折々の事柄やみなの様子を手紙に書き綴り送った。

ユキヒトもユキが寂しくないように帝都での学生生活や、見聞きした様子を書いて送った。

ユキヒトが書生や上流子女の家庭教師をして得た収入で、ユキに似合いそうな小間物も一緒に送ることもあった。

ユキの淡い恋心は幾年も続く文の交換で静かに深まっているように俺さまは感じていた。

ユキヒトのユキへの想いは妹のようなもので、俺さまはユキの想いがどうにか伝えられないか考えていた。

季節は流れ、ユキヒトは卒業が決まり、久しぶりに故郷の地を踏んだ。

ユキは数えで19歳になっていた。

ユキは白百合のような、透明な微笑みをユキヒトに向けた。

妹だとずっと思っていた少女の成長にユキヒトの心は揺さぶられていた。

ユキヒトはたびたびユキの元を訪れ、帝都の様子や、大学での暮らしなど色々な話をしては、ユキを喜ばせた。

家の中ばかり過ごすのは体に良くないからと、ユキヒトはユキをつれて、ピクニックに連れ出した。燦燦と輝く陽の光をあびてユキが笑う。

幸せな時は瞬くまに過ぎてゆく。

ユキとユキヒトの束の間の夏休みは終わりを告げた。

ユキのお兄様のお嫁さんになるという願いは叶うことがなかった。

ユキヒトは国費で伯林に留学中に、世界大戦が勃発し、事故に巻き込まれ亡くなった。

ユキもまた、病に倒れその後間もなくユキヒトの後を追うようにして亡くなった。

俺さまは、ユキの形見として大切の保管された。

やがて年ふり、あやかしになった俺さまは山神さまの眷属となった。

俺さまはユキの哀しい涙を覚えている。

想いを伝えられないまま、離れ離れになってしまったことずっと後悔していた。

俺さまの中には、ユキの哀しみが残されている。

キョーコちゃんには密かに想う人がいるんだ。

敦賀蓮という彼女にとっては先輩に当る人だ。

キョーコちゃんが意識しはじめたのは、最近のことだけど、どうやらその敦賀蓮にはキョーコちゃんと同い年の想い人がいる。

キョーコちゃんは、相手のことを思いやれる子だから、気持ちを伝える子が出来ないんだ。

俺はキョーコちゃんには、ユキのように想いを伝えられない後悔をして欲しくない。

ひとつだけ気になるんだ。

敦賀蓮の好きな女の子ってキョーコちゃんのことじゃないのか?

一生懸命で、芯がしっかりして、やさしくてかわいい女子高生なんてそうはいないはずだ。

とりあえず、俺さまは確かめることにした。

おれさまはあやかしだから、とりあえずキョーコちゃんが普段携帯するものに乗り移ることにした。

そして次の収録までキョーコちゃんと一緒に過ごすことにした。

俺は確信した。

敦賀蓮はキョーコちゃんが好きだ。

なんてわかりやすい男なんだ。

次の坊の収録が終わったあと、俺はキョーコちゃんに話かけた。

はじめはびっくりしてたキョーコちゃんだけど、怨キョを操る女の子だからね信じてくれた。

ユキの話をしたら、キョーコちゃんの目から大粒の涙がこぼれ落ちてきた。

現在、俺は今ふるさとの山にいる。

ユキの哀しみを忘れることはできないけど、ふるさとに帰る前にキョーコの幸せな笑顔を見れて良かった。

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