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桜姫東文章(プロローグ)

「む、む、無理でーす」

その日、ぴんくのツナギを着た少女の雄たけびが、芸能最大手プロダクションLME俳優部門フロアに、おたけびがとどろいた。

椹主任は、慣れたしぐさで応えた。

「社長の決裁も降りているし、断れないと思うよ。この仕事は」

『桜姫東文章』

高貴なお姫さまが実は稚児の生まれ変わりで、生前に愛し合った僧侶と再び出会い、現在愛し合うならずものとの愛憎と執着の入り混じった物語だ。

「で、でも、、、これは年齢だけあているだけで、私には演じられません。け、け、経験なんてないのに・・・ ・・・」

最後は、多分聞こえないくらいの声で応えた。稀代の名女形が演じてきた歌舞伎のお題目ではあるが、いくら主人公だとしても、現在(いま)の私には絶対演じられない。奔放なヒロインだけでなく、いくら敵の子とはいえ、自らが産み落とした子を殺す役なんて嫌だ。絶対に嫌だ。

「すみません。主任、この役だけは、私には出来ません」

サスペンスドラマの脇役で、被害者になることはできても、うらみつらみのある人物を殺害する役ならできても、我が子を殺める役なんて現在の私には出来ない。

「原作に忠実とはいかずに、かなりTV用に脚色されているし、それに、清玄と釣鐘権助は敦賀君に決まったらしい。君と敦賀君は以前も共演しているし、それに監督が是非君にというオファーなんだよ」

「つ、つ、敦賀さーんって、」

「だから、社長もその配役、キャスティングで、喜んで決済したよ。もう、断れないよ」

椹主任の言葉に、何も言えず台本を手にとり、ふらふらとした足つきでラブミーの部室へ私は向かった。

社長に遊ばれているような気がした。

誰もいない、ラブミー部の部室で、脚本に目を通す。

しばらくして、控えめなノックの音が音がする。

「どうぞ」と声をかけると「最上さん、ちょっと休ませてね。」と敦賀さんが入ってきた。

私は挨拶をして、敦賀さんを向かえ入れた。敦賀さんは、私の読んでいる台本をみていった。

「その台本、読んでいるんだ」

「まだ最初の方だけですけど。すみません、私が相手役なんてご迷惑をお掛けします」と私は、先ず謝ってしまった。

「最上さんこそ、初めてが俺で大丈夫?」

「へ、」と私は、間抜けた応えを先輩に対して返してしまった。

敦賀さんは、ちょっと照れた表情で「濡れ場あるでしょう?初めてだよね。俺で、大丈夫?」

ぬれば、あ、塗れば、、、、濡れ場、何度目かで変換できた単語が脳内でスパークした。

相手を本気にさせる敦賀さんと、塗ればじゃなく濡れ場を演じるのは、私。

「お、お芝居ですから。絶対に負けません。」と私は絶叫した。

敦賀さんは、困ったような表情を浮かべた気がしたけど、私の苦手な表情を浮かべ、

「そう。じゃ、俺も本気で相手になるよ」といい、

「負けません。」と私は応えた。

共演するのは、二度目だ。まさか、こんなに早く相手役で対峙するなんて、負けたくない。この人には。

私が、翻弄してやるんだから。

あのときの悔しさを私は、忘れていない。あの時はずっと成長した自分を、この人に魅せてあげなければ。
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