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夜啼鶯-小夜曲-


俺の大伯父が、上海から少年を連れて来たのは、数年前の冬だ。

やせぽちで、はじめは俺たちにおびえていた。

人嫌いの大伯父の酔狂に、周囲は嗤っていた。

大伯父は一代で財をなし、東京から遠く離れた鎮守の森に囲まれた屋敷に

昔から仕える使用人とあの少年と暮らしている。

大伯父は、あの少年に家庭教師までつけ教育していた。

俺は、親父とお袋につつかれ、ご機嫌伺いでたびたび屋敷を訪れる。

俺はあいつに会うたびに、からかったり、ときには小突いたり、相変わらず、

痩せてはいるが、どこか憂いとからかうとぷうと頬を膨らますコイツが気に

いっていた。

「よう、京。お前全然背がのびねえな」

「あ、ショウタロウじゃやなくてショー様、いらっしゃいませ」

「今、ショウタロウっていったな」

俺は、京の耳をつまむ。

「ご、ごめんなさい」

ふざけて、後ろから羽交い絞めしたとき、コイツ男の癖に、柔らかで、

女みてぇだとからかったこともあった。

あの時どきっとしたのは、秘密だ。

俺は一人っ子だから、弟みたいに思ってるんだ。

***

歌が聞こえる、京が琴を鳴らし、あ、小夜曲だ。

俺は、アイツの歌が好きだ、ご機嫌伺いと称しているが、アイツに会いたくて、

歌を聴きたくて、ここを訪れる。

アイツは、大伯父の夜啼鶯で、俺のものじゃない。

大伯父がいなくなったら、アイツは俺の者だ。


「歌っておくれ、私のために」

「私の旦那様のために」

お前の歌を聴くと、寂しさも、過去も、憎しみが薄らいでゆく。

私の夜啼鶯よ。

私のためだけに、歌っておくれ、いつまでも。
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